自分にやさしい言葉をかける練習 - 内なる批評家を静める方法

頭の中の「もう一人の自分」に気づいたことはありますか

仕事でちょっとしたミスをした帰り道。「なんであんなこと言っちゃったんだろう」「もっとちゃんとできたはずなのに」。頭の中で、厳しい声がぐるぐる回り続けていませんか。

隣の席の同僚がスマートに仕事をこなしているのを見て、「それに比べて私は......」。子どもに強い口調で叱ってしまった夜、「私って最低な親だ」。

この声の正体は、心理学では「内なる批評家(インナークリティック)」と呼ばれています。あなたを守ろうとして生まれた声なのですが、いつの間にか必要以上に厳しくなり、心をすり減らす存在になっていることがあります。

でも、この声は静めることができます。そして、その代わりに自分にやさしい言葉をかける練習は、誰にでも今日から始められるものです。

なぜ私たちは自分に厳しくなるのか

「頑張らないと認めてもらえない」という思い込み

子どもの頃、テストでいい点を取ったときだけ褒められた。失敗したら怒られた。そんな経験の積み重ねが、「頑張っていない自分には価値がない」という信念をつくることがあります。大人になった今でも、その信念が内なる批評家として働き続けているのです。

比較が当たり前の環境

SNSを開けば、キラキラした暮らしや成果が目に飛び込んできます。職場では「あの人はできるのに」と無意識に比べてしまう。比較のなかで、自分を責める声はどんどん大きくなっていきます。

内なる批評家を静める3つの練習

1. 声に「名前」をつけてみる

頭の中の厳しい声に、あえて名前をつけてみてください。「あ、また"カンペキさん"が出てきた」「"ダメ出しさん"、今日もお疲れさま」。

名前をつけることで、その声と自分のあいだに少し距離が生まれます。声に巻き込まれるのではなく、「ああ、あの声が来たな」と気づけるようになる。それだけで、心の余裕がずいぶん違ってきます。

2. 「親友に言うように」自分に声をかける

セルフ・コンパッションの基本的な考え方です。もし親しい友人が同じ状況で落ち込んでいたら、あなたはなんと声をかけますか。

「そんなに自分を責めなくていいよ」「十分頑張ってるよ」「誰だってそういうことあるよ」

その言葉を、そのまま自分にも向けてみてください。最初は照れくさいかもしれません。でも続けるうちに、自分への語りかけ方が少しずつ変わっていきます。

3. 寝る前に「今日のOK」を3つ見つける

一日の終わりに、完璧でなくてもいいので「今日、これはOKだった」と思えることを3つだけ探してみてください。

大きなことでなくて構いません。小さなできたことを自分で認めてあげる習慣が、内なる批評家の声を少しずつ小さくしてくれます。

やさしい言葉の「ストック」を持っておく

つらいときに自分にかける言葉を、あらかじめいくつか用意しておくのもおすすめです。心が疲れているときは、新しい言葉を考える余裕がないもの。だからこそ、元気なときに「お守りフレーズ」を準備しておきましょう。

悩んだときに自分にかける言葉アファメーションの考え方を参考に、自分にしっくりくるフレーズを見つけてみてください。スマホのメモや手帳に書いておくと、必要なときにすぐ取り出せます。

自分を責めるクセに気づいたら

「自分にやさしくしよう」と思っても、長年の習慣はすぐには変わりません。気がつけばまた厳しい声が聞こえてくることもあるでしょう。

そんなとき、「また自分を責めてしまった」とさらに責める必要はありません。気づけたこと自体が、もう大きな一歩です。

自分が嫌いになるときや、完璧主義をゆるめたいと感じたときも、同じです。変わろうとしている自分をまず認めてあげること。それが、やさしい言葉かけの第一歩になります。

日常の言葉づかいから見直したいと思ったら、言葉のデトックスもあわせて読んでみてください。

あなたは、あなたの一番の味方になれる

内なる批評家の声は、完全に消す必要はありません。ただ、その声がすべてではないと知ること。そして、厳しい声の隣に、やさしい声をひとつ置いてあげること。

今夜、ベッドに入ったら、今日一日を過ごした自分に「お疲れさま」と声をかけてみてください。たったひと言でも、心がふっと軽くなる瞬間があるはずです。


もっと知りたい方へ


※本記事は情報提供を目的としたものであり、医療上のアドバイスではありません。心身の不調がある場合は、医師や専門家にご相談ください。